古くは木製が主流とされてきた家具だが、ライフスタイルの洋風化によって次第にスチール(金属)製家具のファッション性が受け入れられるようになり、近年では小売店の店頭でも普通に見掛ける存在となった。最初はオフィスや飲食店の設備としての需要が中心だったが、輸入品が増えて価格も低下したことで、次第に家庭用の普及も進んでいった。

経済産業省の「平成16年工業統計調査」によると、「金属製家具製造業(従業者数4名以上)」の事業者数は676ヵ所で、平成14年の調査時(711ヵ所)よりも少なくなっている。年間出荷額も約4630億円(平成14年比98.3%)と減少しているが、事業所数の割に出荷の規模は大きいといえよう。

スチール家具も木製家具と同様に、市場に出回っている商品の多くは輸入品となっている。財務省の統計によると、平成18年の金属製家具の輸出総額が約30億円なのに対し、輸入総額は約473億円と大きなインバランス(不均衡)が生まれている。
商品としてのライフサイクルが長いだけに収益としては苦しい部分もあるだろうが、芸術性の高いデザインや豊富なカラーリングなど消費者を惹きつける要素も多く、国産品としては耐震性やアレルギーの抑制など環境や健康への対策といった、安全面のアピールによる信頼の向上が、需要へと結びつけるためのきっかけになるのではないか。