手すき和紙とは、古くより日本で生産されてきた伝統的道具と技法、原料によって生産された紙のことである。使用される原料には楮(こうぞ)や雁皮(がんぴ)などがある。手すき和紙の特徴としては洋紙に比べて劣化しにくいことや、木を使用しないため環境にやさしいことなどが挙げられる。使用用途は書道用紙や便箋・葉書などが主。日本の伝統産業として、全国各地に産地を形成、「越前和紙」で知られる福井県や鳥取県、高知県が現在の3大産地となっている。
需要を洋紙に取って代わられ、衰退産業と言われてから久しい。消費が減少していることに加え、中国から国産品にひけを取らない製品が安価で輸入されており、業界は苦しい戦いを強いられている。経済産業省の「平成16年度工業統計表」によると、従業員4人以上の事業所数は78ヵ所、従業員は634人。また企業ベースの出荷額は24億9400万円となっている。5年前の数字と比べると事業所数で24ヵ所、従業員数で167人、出荷額で13億5100万円の減少となって、急速に市場は縮小している。また従業員4人以下の零細業者や兼業者は、廃業を余儀なくされたところも多いと推測される。
労働生産性が低く、それに比例して賃金も低いため後継者不足も深刻だ。このまま手をこまねいていては、業界の衰退は必至。そのため、インターネットや通販での販売強化や服飾業界など他業界との連携、和紙産地を観光地として売り出すなど様々な手段での需要喚起が急務となっている。
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