普通鋼(含有炭素2%以下の鉄)に、珪素・マンガン・ニッケル・クロム・銅・モリブデン・コバルトなどの各種合金鉄を加えた鋼を特殊鋼という。耐熱性・耐食性に優れているため、普通鋼では耐えられない状況下で使用される。用途別に工具鋼(カンナ・やすりなど)・構造用鋼(自動車、航空機の重要部品など)・耐熱鋼・軸受鋼(ベアリング)・ステンレス鋼などがある。

日本鉄鋼連盟の需給統計によると、平成17年の出荷量は1918万8000トンで、前年から15万8000トン増加した。輸出向けは537万トンで対前年比92.2%と数字を下げたものの、国内向けが同103.6%の1381万トンと堅調。部門別では自動車部品・産業機械向けが好調で、出荷量は4年連続過去最高を記録した。
主原料である鉄スクラップや各種合金鉄の価格は市況によって変化。近年、鉄スクラップ価格は安定して推移しているが、合金鉄価格が高止まりで収益を圧迫しており、メーカーは販売価格への転嫁やコスト削減を強いられている。
現在、日本の特殊鋼は品質・技術力など世界でもトップの水準を誇るが、アメリカや中国が技術力を上げてきている。今後はさらなる技術力向上で、需要先のニーズに対応しコスト競争力も兼ね備える高付加価値製品の開発を行うことで、他国製品との差別化を図る必要がある。