銑鉄鋳物製造業は、主として銑鉄から鋳鉄管、可鍛鋳鉄以外の機械用鋳物や日用品などの銑鉄鋳物を製造する。自動車を中心とする輸送機械用と一般機械用が用途の大半を占めており、これらの業界の景気動向に業績が大きく左右される。機械部品としての鋳物製品は、最終製品への影響が大きいことから高品質であることが要求されており、高い技術を誇る日本の鋳物製品は世界中で評価を得ている。
社団法人日本鋳造協会の統計によると、平成17年の銑鉄鋳物生産量は430万0622トン(対前年比104.9%)。バブル崩壊後、生産量は減少傾向が続き14年には360万2415トンとピーク時の半分まで落ち込んだが、15年から再び増加に転じている。主要需要先である自動車製造業の好況が需要増に大きく貢献し、自動車用銑鉄鋳物の生産量は246万9713トン(同106.6%)と好調。船舶関連の需要も堅調だ。また一般・機械用の生産も工作機械メーカーなどの設備投資が盛んで需要が拡大。一般・機械用銑鉄鋳物の生産量は26万2232トンで対前年比104.9%となった。
今後を考えれば輸送機械用と一般機械用以外の需要を開拓する必要もあるが、新技術の開発も盛んに行われており、ICチップの基板となるシリコンウェハや、超精密加工機械のベッドに使われる低熱膨張鋳鉄、小さな空気孔を網目状にもつ構造を活かしてエアベアリングなどに使われている流体透過性鋳造品、トンネルのシールド工法に使われるダクタイルセグメントなどは今後の需要拡大が期待される。
原材料である銑鉄の値上がりや低価格な輸入品の増加で、コスト対策がメーカーの急務となっている中、生産過程に情報技術を導入することで、多数ある部品の選別作業を簡素化させ、効率の良い生産計画の立案を行うことが可能となり、作業効率や生産性の向上に成功した企業が出てきた。IT導入によるメーカーの取り組みは、閉塞感のあった市場を開放するものとして期待される。
《業界情報サイト》
自動車鋳物(株) 【東証2部】(http://www.j-imono.co.jp/)
◆◆ ピアノ線 ◆◆
炭素を0.6〜0.95%含んでいる炭素鋼の線。非常に強力で、ピアノなどの弦やコイルばね・コンクリート補強用鋼線・ワイヤロープなどに使用。
◆◆ 圧延鋼材 ◆◆
加熱した鋼をI形・H形など一定の形の断面をもつように、圧廷機で成形した鋼材。
◆◆ ステンレス鋼線 ◆◆
ステンレス鋼の素線を伸線したもの。家電製品や建築用などのねじ類に使用される。