電気めっきとは、金属を溶かした液の中で素材を陰極として通電し、表面に金属の薄膜を析出するもの。装飾、防錆、電導といった様々な目的に応じて比較的安価で金属皮膜を付与できるため、自動車、音響、航空機、通信機、コンピュータなど用途は多岐にわたる。量産品から小ロット品まで加工可能で多彩な金属質感を析出させることができるため、高価な金属のすぐれた特性と良好な密着性をもった皮膜として種々の金属素材や不導体素材で用いられ、銅・亜鉛・クロムなど様々な金属がめっきとして使用される。
典型的な受注生産産業で、金属製品完成品メーカー・プレス加工などの金属加工業者・商社・問屋などが主な受注ルート。生産量は受注先の景気動向に大きく左右される。また多品種少量生産が主で生産性が低く、低収益の要因となっている。取り扱う素材によって特徴があり、最も企業数の多い亜鉛めっき業は大量生産を行っているメーカーも多い。一方貴金属めっき業者は精密加工が必要とされ、生産性が低い。経済産業省の「平成16年工業統計表」によると、4人以上の従業員を有する事業所数は1489ヵ所、従業員数は3万1850人。1事業所あたり21.4人と、中小・零細色の強い業種である。
バブル崩壊後は需要先各業界の業績不振による影響を強く受けて生産量が減り、各メーカーとも収益は悪化。しかし景気回復を背景に需要は持ち直しつつあり、平成16年の出荷額は4365億円。平成14年の調査時から588億円増加した。
体力を回復したメーカーの中には積極的に海外進出を行うところもあり、新技術の開発も活発化するなど業界は活気を取り戻しつつある。今後も需要先の動向に左右される業態は変わらないが、高機能な製品の開発で需要を喚起したいところ。また、廃液処理や土壌汚染などの環境負荷を軽減する対策にも業界が一丸となって取り組まなければならない。
《業界情報サイト》
◆◆ 銅めっき ◆◆
さび止め・肉盛り・アルミニウムダイカスト製品の下地めっきなどに使用される。
◆◆ 亜鉛めっき ◆◆
主として鉄のさび止めに使用される。国内産出量が多く、単価が安いため多く利用され、取り扱うメーカーは最も多い。
◆◆ クロムめっき ◆◆
硬質クロムとして工業用で用いられることが多く、切削工具・プレスや合成樹脂成形用の金型などに使用される。