金属熱処理とは、金属材料に加熱、冷却の熱的操作を加えることで、金属自身に耐久性、耐磨耗性、耐疲労性、耐食性、耐熱性といった効果を持たせる工程であり、焼きならし・焼きなまし・焼入れ・焼き戻し・高周波焼き入れ・窒化などに分類される。
自動車など輸送機械製造業からの発注が約5割を占め、一般機械製造業とあわせて両産業からの発注が大半となっている。すべて受注生産のため、需要先の景気動向に大きく左右される特徴を持つ。バブル崩壊後は受注減少が続いたが、主要需要先である自動車製造業の好調もあって需要が回復。日本金属熱処理工業会の統計によると、平成17年の加工金額は974億7700万円(対前年比107.7%)。14年の702億8600万円から271億円の増加と好調である。
金属熱処理は機械・車両部品生産にとって不可欠な分野であり、一般の機械加工や組み立てと異なり高度な専門技術が必要とされるため、技術力向上への努力を惜しむことはできない。また自動車部品製造業などが海外生産へのシフトを加速させており、付随して海外進出を行うかどうかの選択を迫られている。
《業界情報サイト》
◆◆ 焼きならし ◆◆
高温加熱による組織変化で生じた内応力を除去すること。
◆◆ 焼きなまし ◆◆
鋼の結晶粒度を調整し、軟らかくする操作。完全焼なまし、等温焼なまし、球状化焼なましなどの種類がある。
◆◆ 焼き入れ ◆◆
鋼を硬く、強くするために行う熱処理。
◆◆ 焼き戻し ◆◆
焼き入れや焼きならしを行った鋼について、硬さを減少させ粘り強さを増加させるために行う熱処理。
◆◆ 高周波焼き入れ ◆◆
金属の一部だけ硬度を上げるため、材料に高周波を当て、材料自体の電気抵抗によって発熱させてから水・油で冷却して効果させる熱処理。
◆◆ 窒化 ◆◆
鋼の表面に活性化窒素を浸透させて、表面を硬くする方法。