厨房調理装置とはレストラン・喫茶店などの外食産業や、スーパーマーケット・持ち帰り弁当店などの食品小売業、ならびに病院や工場といった事業所内にある調理施設を指す。業界は
(株)フジマックなどの専業メーカー・
クリナップ(株)などの家庭用厨房機器メーカーのほか、
松下電器産業(株)など異業種も参入している。経営規模や形態によってユーザーのニーズは多種多様であり、必然的に多品種小ロット生産となるためにスケールメリットは少なく、中小メーカーが多い業界構造となっている。
取扱い品種にはレンジや焼物器などの熱調理機器類、冷凍・冷蔵庫類などの低温機器類、食器洗浄機などの洗浄消毒機器類、瞬間湯沸器などの給湯関連機器類などがある。ユーザーは衛生面や手入れのしやすさを重要視するため、製造素材にはステンレス材が主に使用され、受注動向はステンレス鋼板の業務用厨房向け受注量で判断できる。ステンレス協会の統計によると、平成17年の家庭業務機器用ステンレス鋼板受注は14万5206トン。受注が20万トンを超えた平成7年を境に減少基調にある。近年デフレ傾向が続き、外食産業が設備投資を抑制する動きが顕著となったことが理由として挙げられる。
女性の社会進出や単身世帯の増加などにより、外食への依存度は年々上昇している。惣菜・弁当などの「中食」と呼ばれる市場も成長しており、設備投資が回復に向かうことも十分に考えられる。しかし同時に製品の低価格も進んでいく可能性が強いことから、生産工程の見直しや流通コストの削減など行い、価格競争力の強化を行う必要がある。また、ユーザーの作業負担を軽減でき、効果的な調理を行える高機能製品の開発が進んでいくことにも期待したい。