昭和40年10月、国外産完成車の輸入自由化によって輸入車市場が本格的にスタートした。最初は少しずつしか需要が伸びなかったが、昭和60年代に入って円高が進んだ影響で輸入車の売上が急増し、その勢いは販売台数が年間40万台を超えた平成8年まで続いた。その後バブルの崩壊による反動で落ち込みを見せるものの、ここ数年は年間約27万台で推移している。
平成17年6月現在、日本自動車輸入協会には27社が加盟しているが、その中にはトヨタやホンダといった国産車メーカーも含まれている。日本自動車輸入協会の調査によると、平成17年の輸入車(日本メーカーの海外生産車を含む)新車販売台数は26万8112台(前年比98.3%)となった。
マイカーの普及が成熟化したことで、輸入、国産を問わず市場は新規よりも買い替えの需要に重点が置かれている。国内で軽自動車の売れ行きが良くなっているように、輸入車についても小型化志向が進んでおり、高級車よりも低価格車種の需要が大きい。
よって販売台数の割に収益が伸びないという状況が生まれることになるが、その差を埋めるために売上、利益ともに上向きの傾向にある中古車販売の分野に力を入れて収益を確保する動きも出始めている。
市場が成長しにくい理由には、国産車において事故のダメージを緩和する安全性や、ハイブリッドカーに代表される環境への配慮といった要素に関心が集まっている点も挙げられよう。ブランドよりも質が重視されつつあるユーザーのニーズに海外メーカーがどこまで技術的な対応を行えるかという面も、今後の需要の行方を大きく左右する要素となるのではないだろうか。
近年、軽自動車の需要拡大などで売れ行きの頭打ち状態が続く高級車市場。しかし景気回復に伴う消費者の所得増などを追い風に、高級車の需要も増えると見込まれている。
これまで市場は輸入車の独壇場といってもよかったが、国内メーカーもテコ入れを計画しており、競争の激化が予想される。輸入車側も大型販売店の出店や独自の販売網構築を予定しており、今後の市場がどのように推移するかが注目される。
メルセデス・ベンツの「ウェルカムプラン」、
BMWの「バリューローン」など、高級輸入車の販売においてあらかじめ価格の一部を据置価格として設定する「据置型ローン」の形式を取り入れる動きも見られる。いずれのプランもローン終了時に購入者側が据置価格の一括払、据置価格の再ローン契約、車両返却などを選択できる。 実質上の中古車引き取り価格にあたる据置価格の設定を通常の引き取り価格よりも高めに設定することで顧客の購入意欲を高めるとともに、車検や整備などのアフターサービス、返却された中古車の販売など各所で利益を引き出すことが狙いだが、高額で引き取った中古車を在庫として抱え込みかねないというリスクもあり、新車の販売と同様に中古車販売にも力を入れていく必要がありそうだ。
《業界情報サイト》
◆◆ 自動車リサイクル法 ◆◆
平成17年1月施行。正式には「使用済自動車の再資源化等に関する法律」。カーエアコンの冷媒に利用されているフロン類、エアバッグ類、解体や破砕によって生じるシュレッダーダストを適正に処理することで有用資源をリサイクルし、環境問題への対応を図る。
◆◆ 輸入促進のためのアクションプログラム ◆◆
政府が昭和60年に発表した、欧米との貿易バランスを修正するための政策。輸入に関する大幅な規制緩和によって海外メーカーからの輸出増加につながり、市場の成長へと発展した。