今日、道路・鉄道・海上・航空の各交通機関が滞りなく機能しているのは、安全で円滑な交通を進めるための様々な装置が至る所に設けられているからである。都市化が進んで交通網が発達し、技術の進歩によって便利な環境が作られていく一方、同時に利用者の安全を守る対策も取られていく中でこの業界は発展を遂げていった。交通信号機や踏切、航空機の誘導灯など、製品の種類は多種にわたる。経済産業省の「平成16年工業統計表」によると、「交通信号保安装置製造業」の事業所数は137(従業者4名以上)、年間出荷額は約2278億円となっている。
この業界には交通保安だけでなく、利用者の人命を守る使命も含まれることから、複雑化する道路事情や運行(運航)ダイヤの過密化などに対応した技術革新が常に求められる。交通信号機を例にとっても、最近では太陽の光による擬似点灯を防ぎ、ドライバーが明確に見えるようにする目的で、従来のランプ式からLED(発光ダイオード)式への移行が各地で進んでいる。
また平成17年4月のJR福知山線脱線事故を受け、全国で増設が進んでいる自動列車停止装置(ATS)も認知度の高い製品として挙げられるが、一部では設定ミスや誤作動の問題も発生しており、他の製品も含めて検査体制や交通機関との連絡体制を強化していく必要が業者側にも求められている。事故抑制を目指すこの業界の役割は非常に大きいが、情報提供の高度化を目指してITを活用する余地も十分にあることから、業界内部の成長にも今後、期待が持てそうだ。
《業界情報サイト》
◆◆ 交通管制システム ◆◆
交通管制センターが運営するシステムで、道路に設置された計器や装置によって収集されたデータを処理し、ドライバーに最新の交通情報を提供する。
《参考サイト》
国土交通省道路局(http://www.mlit.go.jp)