
日本近海とその周辺に多く生育しているわかめだが、実際には市場に出回っているもののほとんどが養殖ものであるといわれている。天然のわかめは岩や砂に根を張るが、養殖のわかめは人工のロープに根を張らせて育てる。農林水産省の統計によれば、平成17年の養殖わかめの国内生産量は6万4000トンとなっており、平成11年の7万7000トンから減少傾向にある。天然わかめの漁獲量は3000トンと極めて少なく、流通の中心は養殖といっても過言ではない。
わかめには食物繊維やミネラル・ビタミンが多く含まれており、昨今の健康志向や安心・安全志向を追い風に消費と生産量の拡大があってもおかしくないが、実績はその逆になっている。これは、わかめを食す文化の少ない中国を中心とした外国からの輸入増加や生産者自体の高齢化や転業、あるいは、わかめそのものが副食としての位置づけを脱却し切れていないことが考えられる。
近年、生産地別の生産量シェアは変わっておらず、「三陸わかめ」ブランドを有する岩手県・宮城県、「鳴門わかめ」を有する徳島県、兵庫県の4県で8割近くを占める。また、価格が生産量・繰越在庫量・輸入量・需給バランスといった要因により決定され、特に生産者価格は「三陸わかめ」により大きく左右されることが業界の特徴である。