海苔の養殖は、気候や海水環境、地形などを見極めて行わなければならず、元来難しい技術を要するものとされてきたが、品種の改良や管理技術の進歩、工程の機械化などによって大量生産が可能となり、太平洋沿岸の地域を中心に広く行われるようになった。

海苔養殖業は家族経営の零細企業が多く、高齢化問題や経営者不足により経営体数は減少の一途を辿っている。農林水産省の統計によれば、平成17年の養殖のり収穫量は38万7000トンとなった。平成16年の35万9000トンからおよそ3万トンの増加と、生産量は比較的安定して推移しており、設備面など養殖技術の向上で作業が合理化されたことで生産者単価を上昇させている構図が窺える。
業界の特徴としては共販率が95%を超えることが挙げられ、流通形態は「生産者」⇒「各地の漁協」⇒「地区漁連」⇒入札⇒「入札指定問屋」・「メーカー」⇒「卸売業者」⇒「小売業者」と、確固たる流れが確立されている。
消費動向を見てみると、歳暮や中元向けで法人需要の不振が続き、家庭での消費量も横ばい傾向にある。また業務用ではコンビニエンスストアのおにぎり向け需要が消費拡大に貢献してきたが、一時期の勢いは鈍化しつつある。
日本の食生活に深く根ざした海苔の消費が激減することは考えにくい。しかし、これまで韓国産に限定されてきた輸入割当枠の中国産への開放が決定しており、近い将来の完全自由化も予想される。今後は海苔単品としての消費よりも、他製品との共同による新製品の開発で、需給拡大や自然環境に左右されにくい養殖技術の進展にも期待したい。