産業廃棄物の中でも、爆発性、毒性、感染性その他人の健康又は生活環境に係わる被害を生ずるおそれがある性状を有する、つまりその取扱いが困難で特別な処理を必要とするものは「特別管理産業廃棄物(特管)」という分類に定められている。廃油や感染性廃棄物、基準値を超えた有害物質を含む廃棄物などがこれに該当し、運搬や処分においては都道府県知事の許可を受けた特別管理産業廃棄物処理業者に委託しなければならない。
環境省の発表では平成15年現在、特別管理産業廃棄物処理業の許可件数は20491件で、前年より1695件増えている。またそのほとんどが、事業所から特別管理産業廃棄物を回収して処理業者へと引き渡す収集運搬業である。
環境省によると、我が国の平成15年度における産業廃棄物総排出量は約4億1200万トンで、前年度に比べ約1800万トン増加している。業種別では「電気・ガス・熱供給・水道業」が約9225万トンと最も多く(全体の22.4%)、以下「農業」「建設業」と続いている。前年度まで減少傾向だった総排出量は増加へと転じたが、環境保護を目指したリサイクルへの動きは年々進んでおり、再生利用量は約2億0100万トンと、総排出量の約半分にまで達している。最終処分量も約3000万トンで、前年度と比べて約2割減少した。
廃棄物の処理は依然として高い需要があるものの、業務の特性上、常に公害や環境汚染の問題と直面した取り組みが求められる業界である。中でも重大な環境汚染や人体への被害を及ぼす危険のある特別管理産業廃棄物の処理は、十分な安全管理の下で慎重に行わなければならない特殊な業務といえる。最終処分場の残余容量が限界に近づきつつある状況に加え、不法投棄などの悪質行為の増加も問題視されているが、排出量の抑制やリサイクルの促進も同時に考えながらの難しい取り組みが求められる中、業界全体の健全化を図るとともに、安全性と再生利用能力の両方を高める処理技術の向上にも期待したい。