「手前味噌」という言葉があるように、味噌はかつて各家庭で作られるのが普通だったが、大量生産が可能となってからは徐々に自給率が減少し、製造業の確立へと変わっていくことになる。味噌の種類は、原料による分類で「米味噌」「麦味噌」「大豆味噌」、味や色による分類で「甘味噌」「甘口味噌」「辛口味噌」に大別されるが、市場に流通している味噌のうちの約80%は米味噌である。

農林水産省のデータによると、平成16年度の国内生産量は51万2000トンで、大きな落ち込みはないものの、年々わずかずつ減少しながら推移している。米の消費量減少や食生活の洋風化など、原因は様々考えられるが、単身者の世帯が増えたことでインスタント食品に志向が移っている点も大きな要因であると思える。小規模の醸造業者では経営状態が悪化し、廃業や転業あるいは大手への営業譲渡が進み、いっそう上位と下位の格差は拡大するものと思われる。
流通に関しては商品によって違いはあるものの、問屋を経由するケースが60%近くあり、【メーカー⇒問屋⇒量販店・農協・小売店など】の流れが主流となっている。ただし量販店での購買率が向上してきているため、今後は問屋を経由しないメーカー⇒量販店という流通が台頭してくる可能性が高く、設備面や物流網、サプライチェーンマネジメント(SCM)の整備が急がれる。
若者を中心に朝食でみそ汁を飲まない人は年々増加しているが、コレステロールの低下や老化防止などの効果が実証されていることもあり、健康によい食物であるというイメージは根強い。即席みそ汁の需要が堅調なことやみそ汁をメインに扱う飲食店が人気を集めていることなどを考えると、みそ汁を好みながら「手間がかかる」などの理由で日頃口にしない層はかなりの数に上ると予測される。今後は製造業者側から具の組み合わせを消費者に提案するなど、健康食としてのみそ汁をアピールし、みその需要回復を狙いたいところだ。