
植物油脂の製造は、主として大豆、菜種、ゴマなどの油糧種子と呼ばれる原料から、それに含まれる油分を圧搾、抽出、精製の過程を経て、油と粕(一般にミールと称す)に分離する作業である。原料のほぼ全量を輸入に頼っており、国産原料は少量で、平成16年の数字を見ると輸入原料の使用量が604万トンなのに対して国産原料はわずか29万7000トンにとどまっている。
内訳を見ると輸入原料は大豆、菜種が上位を占め、国内原料は米ぬかがほとんどとなっている。また植物油とともに生産される油粕は、飼料の原料や肥料など幅広い用途に利用され、残滓はほとんど発生しない。例えば大豆1トンを搾油すると、190キロの大豆油と760キロの油粕が発生する計算になる。
原料の国際価格基準はシカゴ相場で決定していることもあり、主原料の仕入は商社経由が大半を占める。特に大豆は投機的な要素が強く、製油業界もかつてアメリカの大豆輸出規制などから投機的な先物買いを行い、赤字を出したことがある。そのため、市場動向や生産計画に基づいた原料の調達先の確保が重要である。
市場は成熟化が進んでおり、食用油脂では油脂の摂取過多を気にしている消費者も多いことなどから主として家庭用の8リットル以下の製品の需要量は、平成11年の49万5000トンから平成16年には41万6000トンに減少しているが、マヨネーズ・ドレッシング原料や弁当・惣菜用の加工用の需要が伸びていることもあり、全体としては微減状態を保っている。体に脂肪がつきにくい油脂などが人気を集めており、摂り過ぎは良くないものの良質の油脂を適量摂取するのは体のために良いことであり、その点をアピールしていきたい。
油粕の分野では近年、狂牛病などの問題により、動物性蛋白飼料を回避する動きがでており、安全性の高さからも重要な蛋白原料として注目されている。また次世代燃料として、バイオディーゼル燃料が注目され、ブラジルなどでは自動車用として需要が伸びていることから、日本でも本格的な実用化が期待される。
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