日本においてピザが広く食べられるようになったのは、ごく最近の話である。昔は冷凍食品やファミリーレストランでしか見かけないメニューだったが、バブル期に入って「イタメシブーム」の到来でイタリア料理店が次々と出店したことで、日本でもイタリア料理が認知されるようになり、電話注文によって自宅までピザを届ける「宅配ピザ」の日本1号店「
ドミノピザ」が昭和60年にオープンした。
このサービスが人気を呼んだことから、宅配ピザに参入する業者が次々と現れ、市場も一気に膨らんでいくことになる。しかし需要の急速な伸びはわずか数年に限られ、現状は大手チェーンどうしによる過当競争が進んでいる。採算の取れない店舗の淘汰も加速しており、市場においては組織力のあるチェーンが徐々に幅を利かせている。よって新規の参入は大変に困難であるといえよう。
CMなどによるPR合戦や、季節限定商品やセットメニューの工夫といった他社との差別化を狙う様々な試みなど、以前から常に活発な動きが見られている業界である。平成18年の春季は週末に雨が続く天候がプラスに作用して、売上が大きく上昇する動きが見られた。
最近では電話だけでなくインターネットによる注文サービスも一部で始まっているほか、ドミノピザでは平成17年6月に業界初のアフィリエイトサービスを開始するなど、ITを利用した事業展開も着々と進んでいるようだ。日本人の食生活の変化によって生まれたニーズを的確に捉えたサービスであるが、単身者向けメニューの充実やパーティー向けのケータリングなど、市場が停滞している割にはまだまだ、新たな方向性を開拓できる余地が残されているのではないか。