給食業の中でも、委託者との契約によって施設内で、特定の利用者に対して飲食サービスを行う事業を「集団給食」と呼ぶ。学校給食や社員食堂、病院給食、高齢者施設の給食などが挙げられ、いずれの現場も最近は外部業者への委託が進んでいる。給食業は外食産業の一部として位置づけられており、一般のレストラン、飲食店での営業や機内食サービスなどについても、不特定多数に対する飲食サービスとして「営業給食」という区分けに入っている。
財団法人外食産業総合調査研究センターの調査によると、集団給食の平成16年現在の市場規模は約3兆7000億円(前年比99.9%)で、年々減り続けてはいるもののその幅は小さく、概ね業績は安定しているといえる。その中でも企業などの事業所による収益が全体の半分以上を占めており、社員食堂だけでなく、弁当給食の需要についても年間約6000億円の売上がある。
集団給食については今後、少子化による学校給食への影響は心配であるものの、高齢化社会の到来によって病院や高齢者施設に対する需要には期待が見込めそうだ。一般の給食と違って病状などに応じた調理や味つけの変化を必要とする場合もあることから、技術的な面での改良が業界全体に進んでいくものと思われる。またコストの削減を狙って、セントラルキッチンを導入して大量生産や衛生管理システムの充実を図る事業者も増えてくることだろう。
業界内では業務提携や社内部門の合併などいった再編の動きが徐々に活発化しており、大手の
グリーンハウスが欧州の企業とアライアンス契約を結ぶなど、外資系とのつながりもこの先強くなっていきそうだ。グリーンハウスは欧州のスタイルを取り込み、充実したメニューで高級志向の福利厚生施設を求める企業のニーズを狙う。
食堂のメニュー作りは現場の社員に一任されている場合も多いのだが、栄養バランスなどに配慮した付加価値の高いメニューを開発し提供することで競争力を高めようとする動きも見られる。カロリーやコレステロールなど、食に対する関心の持ちようは人によって異なる。現場ごとに異なるメニューを廃止し、一ヶ所で集中して開発を行うことは組織の効率化だけでなく、健康志向の高い消費者の心をつかむことにもつながるだろう。