ニットとは、柔らかくよった糸をループの連鎖で編み上げたものの総称。生地の柔軟性に富み、編み目の形成方法を変えることにより様々な形に成型することが可能であることから、下着・セーター・靴下など様々な製品として商品化されている。昔は編物全般をメリヤスと呼んでいたが、セーターなどの衣類と区別するために現在では用途別にインナーと呼ばれる肌着や生地をメリヤス、アウターのカジュアルウェアをジャージ、編物全般をニットまたはニットウェアと呼んでいる。
業界は昭和40年代に急成長を遂げたが、第1次オイルショックにより大きな打撃を受け、その後も安価な輸入品の増加などで需要は低迷した。近年では消費者の衣料品への支出割合も低下しており、輸入による供給過多とあわせて業界を取り巻く環境は厳しいものとなっている。またデフレによる製品価格の低下もあり、ますます経営を圧迫している。

ニット製造業は多品種小ロットの生産が多いため、業者は中小零細業者で占められている。経済産業省の「平成16年 工業統計表」によれば、4人以上の従業員を有する事業所は全国に466箇所。そのうち8割以上が従業員19人以下の小規模事業者である。また製品の種類が大変多く、製品ごとに一定の地域に固まって産地が形成される傾向がある。そのため地域別に分業化が進んでいる。
消費者の需要の多様化は著しい。製品輸入もこれから一段と増加することが予想され、いかなる状況にも対応しうる企画・販売を強化することが必要だ。そのためにはニーズのすばやい把握やコストを削減しつつ、多品種・短サイクル生産を実現するなどの方策に業界全体で取り組んでいかなければならない。