製綿業とは一般に綿花や合成繊維などで中入綿、布団綿を製造する業種のことを言う。加工形態には打綿加工(布団綿の打ち直し)、製綿加工、仕立加工(既製布団の仕立)の3つが挙げられる。かつて高温多湿の日本の風土にあった綿布団は寝具の中心的存在だったが、第二次世界大戦後の急速な洋風化により毛布やタオルケット、ベッドなどに市場を侵食されていった。特に羽毛布団は保温性、軽量などが好まれ、一時期爆発的な伸びを示した。現在、綿使用の寝具を好んで使用する年齢層は60歳代以上と推定され、数年後には羽毛布団に取って代わられている可能性は否めない。

経済産業省の統計によれば、平成16年の製綿業事業所数は101箇所。平成12年と比較して50箇所あまりの減少となった。また、出荷額においても10億円以上の減少となっている。同じく経済産業省のデータによると、従業員数が20人未満の小規模企業が全体の9割を占めており、非常に零細性の高い業界だといえる。
業界全体は縮小傾向で推移しているが、なかでも小規模企業が主となっている打綿加工は需要が激減。これは経済成長期以降、使い捨て意識が定着し布団綿を打ち直して使用する再利用意識の後退を招いたことが大きな要因だ。
しかしリサイクル時代を迎えた今、この分野を見直さない手はない。全国寝具寝装品協会では関係団体とリフォームなどに関する検討を行い、ふとんの再利用を推進。消費者への啓発活動も行っている。今後は他の用途を模索する手段や、消費者ニーズの変化に対応する魅力的な商品の開発が待たれる。